ソフトウェアV9が北米で配布開始

ソフトウェアV9がアメリカで正式に配布され始めました。以下、テスラのリリースの和訳です。ちょっと長いですが、2016年9月にV8がリリースされて2年、多くのオーナーが待ち続けた大型アップデートなので、本当にたくさんの新機能が盛り込まれています。
イメージが湧きやすいように写真や動画を加えておきました。
 
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ソフトウェアバージョン9のご紹介
2018年10月5日
今週から、北米のテスラオーナーに対してこれまでで最も賢く、安全で、使いやすいアップデートを配信しました。ソフトウェアバージョン9.0はスッキリと洗練されたデザインに加え、モデルS、モデルX、モデル3、およびテスラモバイルアプリに全く新たな機能も追加します。
ソフトウェアバージョン9.0をいち早く入手するには、お車をWi-Fi環境に接続してください。今回のソフトで変わった点は以下の通りです。
テスラモバイルアプリの改善点
  • アップデートの通知が届いたら、わざわざ車まで行かなくてもテスラアプリを使って遠隔操作でアップデートを開始できます。
  • 電話を使ってお車のナビに目的地を送信できるようになりました。お使いの地図アプリの「共有」ボタンを押すだけで簡単に設定できます。
    pic.twitter.com/G9ubA327xw
  • 運転手以外の乗員もモバイル機器を使ってお車のメディアコントローラーを操作できるようになりました。ドライバーはセンタースクリーンのメニューから「メディア設定→モバイル機器による操作を許可する」で機能のON/OFFを切り替えられます。
ドライブレコーダー
  • モデルS、モデルX、およびモデル3のハードウェア2.5(2017年8月に導入)装備車は運転中に前方カメラで映像を録画できるようになりました。少なくとも1.8GBの空き容量があるUSBドライブを適切なファイルフォーマットにしていただく必要がございます。USBドライブはお車前方のUSBポートに挿入してください。
  • ドライブレコーダーのアイコンをタップすると直近10分の映像が保存され、長押しすると録画を一時停止します。
    pic.twitter.com/dm3cy98dVg
新しいアプリとアプリランチャー
  • モデルS、モデルX、およびモデル3に新たに採用されたアプリランチャーはカレンダーやエネルギー、ブラウザ、リヤビューカメラ、電話、充電アプリなど、あらゆるアプリを集約して、一箇所から全て起動できるようになっています。アプリランチャーを上にスワイプすると最後に使用したアプリが立ち上がり、現在使用中のアプリを下にスワイプするとアプリを閉じることができます。
    pic.twitter.com/BGicr0WYQ2
  • モデル3には次の3つの新しいアプリが加わりました。ウェブブラウザと、モバイル機器と連動するカレンダー、そしてリアルタイムのエネルギー消費量や目的地までの必要な予想エネルギー量が確認できるエネルギーモニター。
    pic.twitter.com/aFXbrYR3xI
エアコンの改善点
  • モデルSとモデルXはリヤシートヒーターやステアリングホイールヒーター、ワイパーヒーターを含む寒冷地機能の操作系統を一箇所にまとめました。エアコンのON/OFFはエアコンメニューだけでなく、エアコンボタンを長押しすることでも行えます。
  • モデル3は温度設定ボタンを左右にスワイプするだけでワンタッチで設定温度を調節することができます。ダッシュボードの3D画像が刷新されてキャビン内のどこに気流が送られるか見やすくなったため、狙ったところに風を送りやすくなりました。
オートパイロットナビゲーション(近日配布予定)
  • ソフトウェアバージョン9.0ではOTAアップデートにより、既存のオートパイロットに新機能を追加予定です。
  • 当社が誇る先進のオートパイロット機能、「オートパイロットナビゲーション」はドライバーが走行状況を注視していることを条件に、車線変更を提案したり高速道路のインターチェンジを乗り継いだり出口から降りたりと、高速道路の入口から出口まで積極的にお車を操縦します。オートパイロットを使って高速道路を走行している際に、目的地までの最適なルートを探して辿ることがさらに楽になりました。
  • ナビに目的地を入力すると、そのルートの中で「オートパイロットナビゲーション」を使用するか選択できます。モデルSやモデルXの場合はステアリングコラムのクルーズコントロールレバーを、モデル3の場合はギヤセレクターレバーを通常通り操作するだけでオートパイロットナビゲーションが作動します。車線変更が提案されたらドライバーは準備ができたことを知らせるために指示機をタップしてください(モデルSやモデルXの場合は指示機またはクルーズコントロールレバーをタップしてください)。オートパイロットナビゲーションのない、従来のオートステアリングやエンハンスドオートパイロットはこれまでどおりいつでも使用できます。
  • ソフトウェア9.0ではオートパイロットナビゲーションはまずシャドーモードでリリースされます。シャドーモードとは実際に機能が使えずバックグラウンドでデータだけ記録している状態を指し、これによって何百万キロもの実走行データを弊社のバックエンドで検証することが可能になります。性能が検証され次第、北米のお客様にオートパイロットナビゲーションをベータ版として提供します。その他の市場でも同様の検証を経て、関係省庁の許認可を取得してからオートパイロットナビゲーションを提供します。
360°全方位ビュー
  • モデルS、モデルX、およびモデル3の完全自動運転ハードウェア装備車は8つの外部カメラすべてが有効化され、周囲360°が視覚化されるため、お車を取り巻く状況が把握しやすくなりました。
  • これまで超音波センサーだけに頼っていたブラインドスポットモニターはサイドおよび後方カメラも使用して車両を検知し、ディスプレイに表示します。指示機を作動させた際に死角に他車がいる場合、ディスプレイに表示されている車線が赤色に変化し、車線変更できないことを表します。
    RedLane.JPG
  • オートバイや小型トラック、大型トラックなど、表示される車両の種類も増え、周囲をより正確に把握できるようになりました。Bike.jpg
  • 360°の視覚化は隣の車線の車が自車の後方であろうとはるか前方であろうと表示し、車線も隣の1車線だけでなく、複数車線が表示されるようになりました。
    2lanesaway.jpg
ナビゲーションのルート表示の改善
  • モデルSやモデルXのタッチスクリーンに表示される「ステップバイステップ」の指示は、高速の出口名など、情報量が増えました。「次の指示」は必ず大きく表示され、走行中にナビゲーションパネルをタップまたは下にスワイプするとルート指示の一覧が表示されます。
  • モデル3の場合はステップバイステップの指示が運転席側に表示されるようになり、高速の出口名など差し迫って重要な情報が表示できるよう簡素化されました。タップまたは下にスワイプすることで全体表示ビューに切り替えて、追加の情報を確認することができます。
  • また、HOVレーン(複数人搭乗車専用車線)の走行資格の有無も設定可能で、より正確なルートを提案できるようになりました。
障害物検知による加速制限
  • 低速で走行中に(駐車中など)お車の進路に障害物が検知されると、踏み間違いによる意図しない急加速を防止するためにフル加速が制限されます。この機能は設定→オートパイロットからON/OFFを切り替えられます。
ゲームなど
  • テスラの車は運転が楽しいことで知られていますが、これからは「停まっていても」楽しい車になります。Atari社のクラシックなゲームがイースターエッグとしてソフトウェアの中に隠されており、見つけることができたらお車がハンドルとタッチスクリーンで遊べるゲーム機に変身します。頑張って隠しコマンドを探してください!
    Atari.JPG
ソフトウェアバージョン9.0により、これまで生産されたモデルS、モデルX、およびモデル3すべてが何かしらの新しい機能を得られます。テスラ車を所有するということは、買ったあともどんどん良くなる車を所有することだという事実を再認識できるとてもいい機会です。
ーーーーーー以上ーーーーーー
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これまでは縦長画面のモデルS/Xと横長画面のモデル3が別々のデザインだったのですが、このアップデートにより、統一感が出てとても良いと思います。各項目について思ったことは、
・ テスラアプリ
車まで行ってアップデートボタンを押さなくていいのは超便利。地図の住所を送るのは、これまでカレンダーアプリでできていましたが、専用のボタンを設けることで誰でもシンプルにできるようになったのはとてもいいことです。
・ドラレコ
嬉しい機能だけどフロントカメラのみ運転中のみというのがネック。車上荒らしや煽り運転野郎の撮影ができません。今後アップデートされていくとのことなので期待しましょう。あ、HW2.5のみ対応だ!2.0や1.0もそのうち対応してくれ~!
・アプリとランチャー
個人的にはモデルSの上下2分割画面が便利に感じていたので、今回新UIになってそれができなくなると不便かなぁと思います。まあ、これも慣れでしょう。それより気になるのが描画性能が上がっているかということ。モデル3は紹介動画を見ていただくと分かるように、とても軽快に動きますがモデルSも速くなるのか、モッサリなのか。モッサリなら気になる人のためにMCUアップグレードというオプションを売り出してはどうか(30万円ぐらい)。
・エアコン
モデル3は後部座席のエアコンを独立してON/OFFできますが、モデルS/Xは相変わらずできないようですね。長押しとかスワイプといったショートカット操作を盛り込んでくるあたりがシリコンバレーの会社っぽいです。既存のメーカーも見習って欲しい。
・オートパイロットナビゲーション
最初に言っておきますが、これは私が勝手につけた日本名で、正式になんて呼ばれるかはまだ不明です。インターチェンジやジャンクションを自動的に乗り継いで目的地付近の高速出口までオートパイロットしてくれるだけでなく、前方に遅い車がいたら車線変更をして抜き去ってくれるし、大阪など車間距離の短めの地域のために「マッド・マックス モード」という、ちょっと強引に割り込んでくれるモードも用意されています。日本では「和泉ナンバーモード」と呼んで欲しいなぁ。
「その他の市場でも同様の検証を経て、関係省庁の許認可を取得してからオートパイロットナビゲーションを提供します。」という部分が非常に気になりました。国ごとに検証をするなら、販売台数から考えて次は中国、ノルウェー、イギリスあたりかな。なお、日本は販売台数発表されていませんがどうなんでしょうね。
Tesla-Sales-by-Country-4.png
・360°全方位ビュー
この名前も私の勝手な和訳です。これまで車のサイドは超音波センサーだけだったと言っていますが、肝心なのはサイドカメラを使うようになったことではなく、側方に障害物があったら避けてくれるかどうかです。以下の動画のように、動いている物が横から迫ってくると避けてくれるのは知ってますが
https://www.youtube.com/watch?v=OTyo4iQeA1I
この写真のように止まっている雑草はソナーが「近いよ!」と知らせてくれるくせにオートパイロットは全く意に介せずバリバリ突っ込んでいきます。
zasso.jpg
近いって分かってるならちょっと右によるとか対策しろよと思いますが、このバージョンアップでどう変わったかとても興味があります。
・ナビルートの改善
まず、ルートに中継点を含めることができるようになったのが嬉しいです。日本では中継点どころか、長距離ルートで充電が足りなくなる時にSCを中継する案内すらないですが、この新機能では中継点に寄り道する分の電力も考慮に入れてSCを経由すべきか教えてくれるので便利とアメリカで言われています。
日本にはHOVレーンは無いですが、ETC専用出口があるのでETCの有り無しは設定できたほうがいいかも知れませんね。
最後に、Googleのルート計算は距離優先から幹線道路優先にアルゴリズムをもう少し調整してくれないかなぁ(怒)。先日、稲取温泉に行ってきたのですが、国道から最後に温泉に向かって入っていくルートがひどくて、地図で見た瞬間「無理でしょ!」と思ったけど怖いもの見たさで行ってみると、案の定ですよ。稲取に寄った際は下のマップの位置でご確認ください。ここからモデルSがニョキっと出てくるのはシュール過ぎます。
・踏み間違い防止機能
トヨタのCMで「ガラスでも捉える!」と言ってますが、テスラもガラスでも認識するんだろうか。試したくないけど結果だけ知りたい。
・ゲーム
日本ではぜひ任天堂と交渉してマリオぐらい入れてほしいですね。テスラでは充電中にいかに楽しく時間を過ごせるかに今後焦点を当てていて、このゲームでユーザー同士がハイスコアを競ったり、充電中に限りこれまで制限されていた動画の視聴ができるようになったり(V10で実装予定)、カラオケモードやスーパーチャージャースタンプラリーなど、いろんなアイデアが出ております。
くだらないようで、ちゃんと考えられているサービスの一環です。
以上、駆け足に紹介してきましたが、月末のアメリカ旅行で実車を確認してきたいと思います。

1件のコメント

  1. >この写真のように止まっている雑草はソナーが「近いよ!」と知らせてくれるくせに
    >オートパイロットは全く意に介せずバリバリ突っ込んでいきます。

    ここで思わず吹き出してしまいました 笑

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