以前、バッテリーの寿命について書きましたが、本日はどのようにEVを扱えばバッテリーを長持ちさせられるかについてまとめました。
イーロン・マスクは過去に、会社への往復でバッテリーの50%を消費するユーザーに対して、「(50%使うなら)バッテリーを80%~30%の間で使え」と言っています。また、テスラのバッテリー研究パートナー、ダルハウジー大学のジェフ・ダーン氏も日常的な充電は70%以下にとどめ、遠出するときだけ100%にするとよいと言っています。
さらに、EVではないのですが、ドローンの最大手DJI社のリチウムイオン電池も使わない時は自動的に65%以下まで放電するようになっていますし、気にする人は冷蔵庫など温度の低い環境で保存しているようです。なぜ冷蔵庫かというと、、、
(Source: Battery University)
この表からも分かるように、リチウムイオン電池は100%充電した状態で高温で保管すると充電可能な容量がどんどん減っていきます。幸いテスラはバッテリーの隙間に冷却液を流すアクティブ・クーリングを採用しているため夏の暑い日やスーパーチャージャーで急速充電している時でもバッテリーの温度を低く保ってくれますが、例えば日産リーフは冷却液のない空冷式(パッシブ・クーリング)のため、暑い地域では異様に劣化が進んでいきます。
では、テスラオーナーは常にバッテリーの寿命に怯えながら30~70%辺りだけを使うようにしなければならないのかというと、実際そうでもありません。ロサンゼルス⇔ラスベガスのシャトルサービスで有名なTesloopは保有車両の中で、多いものでは年間約23万キロも走行する上に、常にスーパーチャージャーで100%満充電、夏は40℃を超える灼熱の砂漠を走行しているにもかかわらず、バッテリー容量は32万キロ時点で94%を保っています。また、テスラでタクシー業を営んでいるオーナーで、毎日自宅で(ゆっくり)満充電しているケースでも38万キロ時点で93%を保っています。つまり、100%まで充電しても構わないが、すぐに走行することによって30~70%の最適なゾーンにいる時間を伸ばしてやることが重要だという事です。0%付近まで放電するのも同様で、放電しても構わないが、すぐに30%以上まで充電してあげることが肝要です。
昔、アメリカのテスラサービスセンターで「A plugged in Tesla is a happy Tesla」と書かれたカードが配布されていたそうです。必要な時にたまに充電するのではなく、可能であれば充電器に挿しっぱなしにしておいてくださいという意味です。充電限度は90%でも80%でも構わないのですが、挿しっぱなしにすることでバッテリーパック内の数千個ものセルの電圧のバラツキが均一化される効果があります。
また、リチウムイオン電池にはデジタルメモリー(※メモリー効果とは別のものです)と呼ばれる状態があり、例えば30~70%の間だけを行ったり来たりしていると、車両の電源メーターの精度が落ちてきます。これを防ぐために30回の充電に1度は0%近くまで使い切った後に100%まで充電してやることで電源メーターの精度を保つことができるそうです。
ということで、
1) バッテリーは30-70%の間で常用するのが良い。
2) 100%や0%まで使ってもいいが、長時間その状態を維持しないこと。
3) たまに充電器に挿しっぱなしにしてあげる。
4) たまに0%→100%にしてあげる。
という4つのルールを守ることでバッテリーの寿命を伸ばしてあげられるようです。