EVの接近音規制は必要か

数年前からアメリカに限らず世界中で「EVは静かすぎるから危ない」という話が持ち上がり、なんでも規制したがる役人の努力が実を結んで、この度アメリカでは以下の規制が導入される方向に。

2019年9月以降に生産される四輪のEVおよびハイブリッド車で、車両総重量が4535kg以下のものについては、前進/後退を問わず30km/h以下で走行する場合において接近音を発しなくてはならない。これよりも高い速度ではタイヤノイズや風切音等の要因により、歩行者に音による十分な警告がなされるため接近音は必要ではない。

政府や盲人協会の懸念も分かりますが、そもそも本当にEVが走行音を出す必要があるのか、EV以外にベンツやレクサス等の静かなガソリン車は規制対象外なのか、詳しく見ていきたいと思います。

まず初めに、EVとガソリン車の騒音を比較した交通安全環境研究所の調査結果があるので、こちらを御覧ください。

EngineNoise.JPG
(GE1はセルシオ、GE2は1500ccのカローラ、HVはプリウスのEVの走行モード)

このグラフから分かることは、1) 繁華街ではガソリン車であろうとEVであろうと、20~25km/hを超えないと歩行者に気付いてもらえないこと、そして2) 閑静な住宅街で15km/h以下で走行しているEVは気付かれにくいことです。

1)に関しては、EVが普及する前から目の不自由な方はそれで生きてきたので、EVだけ特別に対応する必要はないはずです。問題は2)ですが、個人的にはこれも規制の必要はないと感じます。まず15km/h以下で走行していて、人が飛び出てきて避けられないのは車以前にドライバーの問題ですし、ひどい言い方になりますが15km/h以下で轢かれて亡くなる方は車の音が出ていても轢かれます(参考資料)。

それよりも音が静かなEVが増えると繁華街での暗騒音が減って、目の不自由な方は逆にこれまで気づくことができなかった20~25km/hで接近する車を鋭敏に察知できるようになります。それが最も顕著なのが大型トラックです。下の動画を見比べてEVが増えた未来を想像してみてください。

(Video credit: saku2w)

(Video credit: Richard Fielder)

(Video credit: My Tesla Adventure)

とはいえ、EVは確かに歩行者に気付いてもらいにくいです。人によっては自分の接近に気づいて欲しいから音を出したいと思うでしょう。なので、任意に接近音を出せるような機能を付けることを提案します。EVの接近音については、メーカーだけでなくアフターマーケットも参入して色々出てます。個人的にメーカーの中ではアウディの音がドライバーも走る高揚感が得られて良いと思います。

ガソリンエンジンのV8サウンドがどうしても忘れられない方にはこんな商品もあります。ちゃんとシフトアップやキックダウンもするんですね。どういう仕組なのか分かりませんが、よくできていると思います。

 

確かにEVは健常者でも気付かないほど静かです。しかし、その静かさを活かして暗騒音を減らせれば、都会の目の不自由な方にもメリットがあります。接近音を出すよりも、15km/hで飛び出して来られた時に車が検知して止まるプリクラッシュセーフティシステム※1をEVの必須装備にするほうがいいと私は思います。そして接近音を出したい人のために、クラクションの横に小さなスイッチを設けて簡単に切り替えられるようにするのはいかがでしょう。

 

※1 なぜかマツダのプリクラッシュセーフティシステム(PCS)は15km/h未満で、トヨタのプリクラッシュセーフティシステムは10km/h未満では作動しません。全メーカーを調べたわけではないですが、日産とホンダは特に記載がないので0km/hから作動するのかな?

 

 

 

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