私の周囲には様々な車好きがいます。速ければなんでもいい人、特定の車種が好きな人、新しいもの好きな人、昭和レトロな人。今日はそんな車好きのアイデンティティを根底から覆す(かもしれない)お話です。
先日ネットを回遊していたら不思議なワーゲンビートルを見つけました。
1963年式のビートルをEVに改造した方のお話です。
・ 純正MTにモーターを直結
・ 最大出力70ps (純正エンジンは40ps)
・ 外観上はマフラーがないだけ、内装は燃料計がバッテリー計に変わっただけの、ほぼオリジナル
・ 22kWhのリチウムイオンバッテリーで約150km走行可能
・ 0-100km/hは10秒。ギヤによっては8~9秒も狙える?
テスラとは異なり4速MTが使えるので、ギヤによって0-100km/hタイムが変動します。面白いことにエンストという概念がないため、停止時にクラッチを切る必要がありません。オートマのように好きなタイミングでアクセルを踏むだけです。また、下からトルクがあるので停車状態から4速に入れてそのまま発進することも可能です。普段使いには3速に入れっぱなしでATのように走るだけだそうです。MT車をベースにするのは、ATだと変速用の油圧ラインを新設する必要があるからだそうです。
面白いから少しリサーチしてみると、色々な方向性をもったEVコンバージョンが出るわ出るわ。。。
フィアット124スパイダー2000
・ 1980年式
・ 0-100km/h 純正12秒、EV版は6秒!
・ 第1世代テスラバッテリー 36kWh 航続200km
スバルインプレッサWRX
・ 2006年式
・ 回生ブレーキなし 160ps 少ないように思えるがトルクがあるので問題ない
・ オーナーはかなりコンバージョンに苦労したみたいです
フェラーリ308
・ 1978年式
・ エンジン炎上からのレストア
・ 3基のモーターと30kWhのバッテリー (後に46kWhにアップ)
・ 航続距離128km (後に240kmにアップ)
・ 最大トルクは447Nm
BMW M3(E36)
・ 550ps 1152Nm@600rpm
・ 車重1723kg
・ パイクスピークでストリートカークラス優勝、EVクラス4位、総合51位
(パイクスピークは山道を登る競技のため頂上付近では空気が薄くなり、通常のガソリン車は馬力が20%ほど落ちますが、EVは逆に空気抵抗が減る分、速度が増します。)
ジャガー Eタイプ・ロードスター
・ 1968年式
・ シャシーを切った貼ったせずに既存のマウント類を使用しているため、エンジン車に戻すことも可。
・ 0-100km/h 5.5秒(ガソリン版は7秒前後)
・ 航続距離270km
・ EV化はConcept Oneを作ったクロアチアのリマックが監修
ポルシェ 911 SCタルガ
・ 1979年式
・ 54kWhバッテリー (テスラ・ロードスター用) ツインモーター
・ 航続距離 322km
・ 5速MT
VWバス
・ 1967年式
・ 航続距離は「とりあえず」100km。バッテリーを積むスペースは沢山あるので、ニーズに合わせて増設可能
・ 85ps
・ 重量物は車両の中心に寄せられているので、乗り心地と安定性が向上
・1400万円 (1ドル107円換算)
冒頭でも書きましたが、車好きには色々なタイプがいます。どうしてもエンジンがブンブンいってないと気が済まない方以外は、徐々にEVの利点に気付き始めています。考えても見てください。10年~20年後はガソリンの価格が高騰して、ガソリンスタンドもほとんどなく、周囲からは「発がん性のガスと騒音を撒き散らしながら走ってて楽しいですか?」と責められ、若い子には「なんでそんなに遅くて壊れやすくて運転しにくいものに乗ってるの?ていうかクラッチって何?」とからかわれるんですよ?
本当にその車が好きで、大切に乗りたいならエンジンを捨ててEVコンバージョンをするほうが車の走行性能と信頼性も向上し、QOLならぬQOCL(Quality Of Car Life)が上がると言えるでしょう。
あなたはそのクルマの何が好きでそのクルマに乗っているのか、是非じっくり考えてみてください。